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あんなぷるな道中膝栗毛

37. 屋上の風景(タメル) <目次に戻る

 カトマンドゥに戻って、ホテルが変わった。
最初に到着した時のホテルから見れば、少しずつランクが落ちた様だ。
これは、滞在日数を重ねる事に、色々な情報が入って来て、別に
泊るだけならベッドにシャワーがあれば十分!
その分一杯やった方が、良いのではないか?という方向になった
からだ。

 今度のホテルはチョイと古いが、我々の部屋は屋上階の為、眺めが
良いのだ。
所謂ペントハウスである。(鳩小屋と言った方が近いかも知れないが)
屋上には我々の一部屋だけなので、前のテラスは全て貸し切りである。
六階建てのホテルなのだが、ここは屋上の為701号室と言う事になる。

 ここからは、色々と街の様子が見えて楽しい。
少し先の小高い丘の上に、スワヤンブナート(ネパール仏教寺院)
も、望む事が出来る。
又すぐ隣の建物は、ライブハウスの様で毎晩大音響で、音楽を
やっている。
ネパール人はおおらかなのと、恐らく音による人権侵害という気風が、
まだ起きていないのか、ある夜等は夜中の十二時過ぎ、もう
ライブハウスも終わった後迄、向かいのビルで削岩機の音が

 ダダダダダー!

と、言う大音響で続いたのだ。
しかし何処からも苦情が来る事は無かった様である。
又このあたりは大変便利な所で、数十m先の表通りには、深夜まで
やっているスーパーが数件あり、ツーリスト向けなので輸入品も
数多く揃えている。

 我々の滞在しているホテルの一階も雑貨屋に、なっているのだが、
実は隣も一階が雑貨屋になっているホテルが建っているのである。
しかも、どちらもスンダリディディー(美しい姉さん)が、
看板娘なのだ。
どちらのホテルに宿泊しても、この二軒のお店の間から入ってくる
造りになっている。
その為二人共ホテルに戻る時には、必ず何かを買ってしまうと言う
事態に、落ち入ってしまった。
若くて美しい娘に我々は、理由も無く弱い様である。(二人共
本当に笑顔の素敵な娘さんであった)

 話は変わるが、この隣接しているホテルも六階建ての為、屋上でも
手摺越しに繋がっているのである。
ネパールのホテルの屋上は、だいたいイスやテーブルが置いてあり、
寛(クツロ)げる様になっている。
その為、天気の良い日は、従業員も外国人ツーリストも、屋上で
ノンビリしている事が多い。

 私達も例外では無く、毎朝スワヤンブナートから聞こえて来る
読経を聞き乍ら、コーヒーを飲むのが日課になっている。

 ある朝、テラスでコーヒーをおとしていると、隣りのホテルの
屋上に、日本人女性が現われた。
まだ二十才前後の彼女は、一人旅をしているそうだ。
コーヒーを御馳走すると、チョクチョク手摺を乗り越えて、遊びに
来る様になった。
少し親しくなったので、翌日彼女がポカラへ旅立つと言う日に、
無理をお願いした。

 その日我々は、カトマンドゥのデパートへ行って見た。
ここでは日本の味噌、醤油等も手に入るのだ。
ポカラでは手に入りにくい、こういう品々を、
フジモモレストラン迄、届けてほしい!
と、お願いしたのだ。
彼女は心良く承諾してくれた。
お礼に、夕食を御馳走した。
細やか乍らの送別会となった。
 
 旅をすると言う事は、異文化との出会いであるが、それと同時に、
自分自身と向き合う時でもある。
一つ一つの国境を超える度に、全く違う文化と接して、大きく
成長して行く事は、素晴らしい事である。

 彼女には良き旅を続けてくれる事を、願うばかりである。

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