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あんなぷるな道中膝栗毛

30.名物おかみの居るビジャヤ
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 ダムサイドへ移った後、予てよりトレッキングを共にした中野氏を
訪ねた。
我々のホテルから100m程しか離れていなかった。
宿の主人に聞くと、中野氏は一番上に滞在していると言う。
登って行くと、屋上のペントハウス、“特等席”だった。

 「流石常連客!」

 彼はこの眺めの良い部屋で、書き物をしていた。
シナリオライター志望なのだ。
気分が良い所で、長期滞在し乍ら好きな本を書く。
何度もネパールに足を運び見つけた、彼流の楽しみ方なのだ
ろう。

 再会を祝って、アニールモモレストランで祝杯を上げた。
アニールモモを出た後、彼行きつけの「ビジャヤ」と言う
レストランに行った。
と言っても軒先に、テーブルを二つばかり並べただけの店だった。
料理も別段何かあると言う訳でも無く、レストランと言うより、
やはり居酒屋である。

 ここのおかみは、豪傑母ちゃんで、英語等全々分からないのだが、
そんな事はおかまい無し、対照的にホテルマンの御主人は、
いつも隣りで静かに座っている。
ポカラは9時には殆どの店が、閉まってしまうのだが、
ここのおかみさんは、気にせずやってくれるので、我々もこの後、
足繁く通う事になるのである。

 唯日中、通りを歩いている私を見付けると、

 「ジャパンダイ!(日本の兄さん)」

と、回りの人が皆振り向く様な大声で、呼び止められるのには
閉口した。
しかしこんな気さくな“おかみ”なので、皆適当に顔を出し、
そして適当に繁盛しているのである。

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