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あんなぷるな道中膝栗毛

27. 消えた荷物(ポカラ) <目次に戻る

 ジョムソムは、朝10時頃から毎日猛烈なインド風が吹く事は、
前述したが、その為飛行機の離発着は、早朝に行われる。
ジョムソムはまるで、風等無いのだが、途中の谷、トゥクチェ
あたりで風が強く、引き返す事も、しばしばである。
実は三日程前から、飛行機は引き返していた。


 ジョムソム飛行場の建物は、唯の倉庫の様な所で、裸電球が
一つあるだけの、寒風景な建物なのだが、三日間欠航が続いた為、
沢山のツーリストで、ごった返していた。
欠航続きで、皆の着陸の期待は大きく、ポカラから来る飛行機を、
今か今かと待っていたのである。

 最初の便が到着したのは、七時半を少し回った頃だろうか、
大喚声の中飛行機は、無事到着した。
万歳する者、抱き合う者、飛行機が着いただけで、これ程
感動する現場に、初めて居合わせた。
これだけ喜ばれれば、飛行機も本望であろう。

 飛行機は次々に到着するのだが、今度は皆自分の予約した
航空会社かを、確かめる。
自分達の乗る飛行機と分かると、又喚声が上がり、抱き合うと
言った状態である。
我々が乗るローヤルネパール機も、無事到着した。

 機内は座席指定が無い為、路線バスにでも乗った感じである。
三十人程の乗客は、各自好きな席に、座わる事になる。
最初に乗った私は、当然眺めの良い最前列の方に座った。
遅れて乗って来た山本は、後方の席になり、渋い顔をしている。
飛行場内の椅子の上で、万歳をしていた為、搭乗が遅れたのだ。

 しかし最後に乗った美人のスチュワーデスが隣に座ると、
ニコニコの山本であった。
緩んだ口元から見え隠れする、歯の抜けた跡が、機嫌の良さを
物語っている。

 飛行機は、我々が歩いたコースを、確認する様に飛ぶ。
ダウラギリ、アンナプルナ、両8000m峰の間を流れる
カリガンダキ河上空を、ポカラへと、素晴らしい眺めを提供して
飛んで行くのである。
途中プーンヒル上空では、ツーリストが皆手を振っている。
我々も二週間程前には、同じ事をやっていたのだ。

 自分達が歩いたコースを飛ぶ事は、非常に感慨深い物があった。
 そして、美しい景色を満喫しているうちに、ポカラへと到着した。

 我々は空港内で、手荷物を受け取る為待っていたのだが、
いつ迄過っても、荷物が出て来ない。
飛行機が次々に到着するので、余計に荷物が分かりづらい。
ノンビリと待っていたのだが、良く見ると回りには、誰も居ず、
荷物はもう一つも無くなっていた。

 我々は空港にある航空会社へ、問い合わせに行った。
私の荷物は、事務所の中に置いてあったのだが、山本氏の荷物は
見当たらない。
ジョムソム空港に問い合わせて貰うと、まだ向うに残っていると言う。
山本は150人以上いたツーリストの中で最初に荷物を預けて
いたのである。

 全てが、だいたい出来ていれば由とするネパールでは、珍しくない
事件の様だが、我々に取って見れば、大事件であった。
それでも、遅れはしたが最後の便で、なんとか届いたので、
荷物を受け取り、安堵の気持ちで宿へ向かった。


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